本書紹介(原著・解題)
本書は、幼稚園や保育所の先生方、ならびに幼児の健康教育に関心を寄せる保護者の皆様に向けて執筆されました。 理論編9章、実践編、および500に及ぶ運動遊び動作の実例を体系的に収録し、保育現場や家庭において幼児の運動・身体教育を展開する際の確かな参考書となることを目指しています。
【理論編】では、運動遊びの目的、運動機能の発達プロセス、神経系の発達、そして運動遊びを通じていかに大脳の発達を刺激・活性化するかという根本原理を分かりやすく解説しています。
【実践編】では、幼児に大人気の運動遊び教材を取り上げ、それぞれの種別の特徴や教育目標を紹介するとともに、500種類の具体的な動作バリエーションを網羅しました。子どもの発達段階や興味・好みに応じて自在に活動を選択できるよう構成されています。
運動遊びを通じることで、子どもは健康な身体を獲得するだけでなく、幼児教育の根幹目標である「健康な身体、創造的な頭脳、そして豊かな社会性(心・知・体の調和)」を達成することができます。 多様な運動経験は幅広い身体能力を育みます。「手は外に出た頭脳」と言われるように、手先の巧緻性と、身体を自由自在にコントロールする足腰の力や平衡感覚は、子どもの成長のみならず、将来や生涯の健康にとっても極めて大きな助けとなります。
したがって幼児期には、運動遊びを真に重視することが切に望まれます。指導のねらいは、子どもの「自発性・創造性・興味・能力」に寄り添うことであり、何よりも大切なのは「自らの身体を動かすことが大好きで、意欲に満ちた子ども」を育てることです。
執筆の経緯と感謝
著者は年齢を重ねるにつれ、身の回りにある鉛筆、硬貨、ピンポン玉、マッチ箱などの日用品を活用し、家庭で親子が一緒に楽しめる触れ合い遊びを考案してきました。 そうした中、当時台南市教育局特幼課課長の王立杰氏より「幼稚園の先生方が指導の指針とできる体系的な運動遊び教材をまとめてほしい」という温かいお言葉とご依頼をいただきました。
著者は若き日に様々な競技の選手として活躍し、師範学校や中学校での体育教員を経て、自ら創設した仁和幼稚園において20年以上にわたり幼児の体能指導に専念し、多くの知見を重ねてまいりました。 幼児体育の奥深さを前に恐縮しながらも、現場の先生方や子どもたちに広く受け入れられる理論と実例を本書にまとめました。本書の完成にあたり、温かい励ましを賜りました王立杰課長に心より深く感謝申し上げます。
編著者:洪南海
(台湾・台南市私立仁和幼児園 創設者)