幼児体育・運動遊びカリキュラム · 保育園・幼稚園

鉄棒遊び14選: 握力・ぶら下がり懸垂・腕支持・回転感覚の育成

鉄棒は、自分の全体重を腕と手指で支える懸垂力、上半身を支える支持力、そして逆さまの世界に適応する前庭感覚を同時に高める重要な器械運動です。本ページでは、安全な親指ロックから前回りまでの14の図解指導案を解説します。

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鉄棒指導の安全基準と親指ロック原則

鉄棒遊びにおける落下事故を防ぐための重要ルール

親指ロックの徹底

必ず親指をバーの下に巻きつけて握らせ、手の滑り抜けを防ぎます。

下部マットの敷設

鉄棒の真下から前後にかけて厚手体操マットを隙間なく敷きます。

回転技のマンツーマン補助

前回りやコウモリなどの回転・逆さ技は、必ず指導者が横について手首と背中を支えます。

無理な耐久の禁止

握力が切れる前に自分から着地するよう声をかけます。

第12章

鉄棒・ぶら下がり・支持遊び(全14例)

ぶら下がり、コアラホールド、ツバメ支持、コウモリ逆さ吊り、スイング着地から補助付き前回りまで体系的に指導します。

アクティビティ 12-1: 高さ別鉄棒体験(握り比べ)

高さ別鉄棒体験(握り比べ)

低・中・高の異なる高さの鉄棒に触れ、自分の胸やおへその高さに合った鉄棒を選んで握ります。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低中高の鉄棒・下部安全マット
環境設定・隊形: 鉄棒下部に隙間なく衝撃吸収マットを配置。
安全配慮: 親指をしっかり巻きつける「順手握り(親指ロック)」を徹底。
スモールステップ(易): おへその高さの低い鉄棒から。
発展(難): 少し背伸びして届く高さに挑戦。
声かけのヒント: 「親指を巻きつけてギュッ!強いお猿さんの手!」
アクティビティ 12-2: 胸当て抱きつきホールド(コアラポーズ)

胸当て抱きつきホールド(コアラポーズ)

低鉄棒に胸とお腹を密着させて抱きつき、足を浮かせてコアラのようにぶら下がります。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒・安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 胸が痛くならないようバーパッドやタオルを巻いて実施。
スモールステップ(易): 足先を地面につけたまま抱きつきます。
発展(難): 足を完全に浮かせて5秒キープ。
声かけのヒント: 「鉄棒大好き!コアラさんになってギュッ!」
アクティビティ 12-3: 両手ぶら下がり(ぶらぶらモンキー)

両手ぶら下がり(ぶらぶらモンキー)

両手で鉄棒をしっかり握り、足を浮かせて5〜10秒間ぶら下がります。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 鉄棒・厚手安全マット
環境設定・隊形: 落下防止マット完備。
安全配慮: 疲れたら自分から足をついて着地するよう指導。無理に耐えさせない。
スモールステップ(易): 足先を地面につけて体重を半分支えます。
発展(難): 10秒間キープに挑戦。
声かけのヒント: 「お猿さんみたいにぶらーん!しっかり握って耐えよう!」
アクティビティ 12-4: お腹乗せ支持(ツバメポーズ)

お腹乗せ支持(ツバメポーズ)

両手で鉄棒を押して身体を持ち上げ、お腹をバーに当てて腕をピーンと伸ばすツバメポーズ!

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: おへそ〜腰の高さの鉄棒・安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 保育者が横で肩と腰を支え、前方へのつんのめりを防止。
スモールステップ(易): 台に乗って足で支えながら腕を伸ばします。
発展(難): ツバメの姿勢で足を揃えてピタッと3秒静止。
声かけのヒント: 「腕をピーン!胸を張ってツバメさんポーズ!」
アクティビティ 12-5: 膝掛けぶら下がり(コウモリポーズ)

膝掛けぶら下がり(コウモリポーズ)

両膝の裏を鉄棒にしっかり掛け、手を離して逆さまにぶら下がるコウモリポーズ。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒・極厚安全マット
環境設定・隊形: 頭の下に厚手マットを必ず配置。
安全配慮: 保育者が必ず両足首をホールドし、頭から落ちないようマンツーマンで保護。
スモールステップ(易): 片膝掛けから始めます。
発展(難): 両手を床についてから安全に着地する練習。
声かけのヒント: 「膝をギュッと掛けてコウモリさん!逆さまの世界が見えるかな?」
アクティビティ 12-6: ぶら下がり足じゃんけん

ぶら下がり足じゃんけん

鉄棒にぶら下がった状態で、両足を開閉(グー・チョキ・パー)してじゃんけん勝負!

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒・安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 握力が切れる前に早めに終了させます。
スモールステップ(易): 足踏みだけを行います。
発展(難): 先生と足じゃんけんで勝負。
声かけのヒント: 「しっかりつかまって、足でじゃんけんぽん!」
アクティビティ 12-7: 補助付き前回り下り

補助付き前回り下り

ツバメの姿勢からお辞儀をするように頭を前に倒し、鉄棒をお腹で抱え込みながらゆっくり回って着地します。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒・安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 保育者が片手で手首、もう片手で背中を支えて回転スピードをコントロール。
スモールステップ(易): 布団やバーパッドを巻いて痛みを軽減。
発展(難): 回転後に静かに両足で着地。
声かけのヒント: 「おへそを見て小さく丸まり、ゆっくりクルリ!」
アクティビティ 12-8: 後ろ回り下り(足抜き回転)

後ろ回り下り(足抜き回転)

鉄棒の下から足を通して後ろ向きに回転し、ゆっくり足から着地します。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒・安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 手を離さないよう「ぎゅっと握ったまま」を声かけ。
スモールステップ(易): 足抜き回り(途中で止まる)から。
発展(難): 足を揃えてスムーズに着地。
声かけのヒント: 「手を絶対に離さないで、ゆっくり回ろう!」
アクティビティ 12-9: 足抜き回り&尻抜き回り(地球まわり)

足抜き回り&尻抜き回り(地球まわり)

腕の間に足を通し、後ろへ抜いて前へ戻す柔軟性と空間把握の運動。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 胸の高さの低鉄棒・安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 肩関節が硬い子には無理させず、保育者が足を支えて通します。
スモールステップ(易): 足を抜いて床に着地する足抜きまで。
発展(難): 逆回転で元の姿勢に戻る「地球まわり」。
声かけのヒント: 「腕のトンネルに足を通して、クルリと地球一周!」
アクティビティ 12-10: スイングぶら下がり(ブランコジャンプ)

スイングぶら下がり(ブランコジャンプ)

ぶら下がった状態で身体を前後にゆらゆら揺らし、タイミングよく前方マットへ着地します。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 鉄棒・大型着地厚手マット
環境設定・隊形: 十分な前方着地スペース。
安全配慮: 後ろ向きに落ちないよう、必ず前方に振れたタイミングで着地させます。
スモールステップ(易): 揺れを小さくして足をつきます。
発展(難): 前方に置いたマットの目標ラインに着地。
声かけのヒント: 「ゆーらゆら、前へ来たときにパッと着地!」
アクティビティ 12-11: スイング&フープリング着地

スイング&フープリング着地

揺れを利用して前方に飛び降り、床に置いたフラフープの輪の中にピタッと着地!

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 鉄棒・フラフープ・着地マット
環境設定・隊形: マットの上にフープを設置。
安全配慮: フープを踏んで滑らないようマットに固定。
スモールステップ(易): フープの位置を鉄棒の近くに配置。
発展(難): 少し遠い位置のフープを狙います。
声かけのヒント: 「狙いを定めて…フープの真ん中へトン!」
アクティビティ 12-12: ボール挟み足上げ(腹筋強化)

ボール挟み足上げ(腹筋強化)

ぶら下がりながら両足でボールを挟み、落とさないように持ち上げてカゴに入れます。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 鉄棒・柔らかいボール・カゴ
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 無理に高く上げすぎず、できる高さで行います。
スモールステップ(易): 小さなぬいぐるみやタオルを挟みます。
発展(難): ボールをカゴの中へ入れるターゲットゲーム。
声かけのヒント: 「足のお手てでボールを挟んで、ギューッと持ち上げよう!」
アクティビティ 12-13: 両足掛けコウモリ(逆さゆらゆら)

両足掛けコウモリ(逆さゆらゆら)

両膝をしっかり鉄棒に掛けて手を離し、逆さまのまま前後に優しくスイングします。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒・極厚安全マット
環境設定・隊形: マット完備。
安全配慮: 指導者が常に両足と背中を支えられる位置につきます。
スモールステップ(易): 揺れずにその場でキープ。
発展(難): 逆さまのまま両手を合わせて拍手。
声かけのヒント: 「膝のロックはバッチリ!ゆらゆらコウモリさん!」
アクティビティ 12-14: 順手&逆手グリップマスター

順手&逆手グリップマスター

「上から握る順手」と「下から握る逆手」の違いを体感し、技に応じた正しい握り方を学びます。

指導案メモ:用具・導入・安全配慮
準備するもの: 低鉄棒
環境設定・隊形: 全員が見える配置。
安全配慮: 技に入る前に必ず親指が巻きついているか確認。
スモールステップ(易): 保育者が手を持って確認します。
発展(難): 合図で「順手!」「逆手!」と素早く握り替えます。
声かけのヒント: 「上からギュッは順手、下からギュッは逆手!親指ロックを忘れずに!」
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鉄棒遊び14選に関するよくある質問 (FAQ)

幼児の鉄棒指導で最も重要な安全握り(グリップ)は?
親指をバーの下からしっかり巻きつける「順手握り(親指ロック)」です。親指を他の4本指と揃えてしまうサル握り(サムレスグリップ)はすっぽ抜け落下の危険があるため、必ず親指を巻き込ませます。
ツバメのポーズ(腕支持)でお腹が痛いという子への対策は?
バーにタオルやウレタン製バーパッドを巻くことで痛みを軽減できます。また、骨盤の少し上の柔らかいお腹部分をバーに当てるよう位置を調整します。
前回りを教える際の指導者の適切な補助位置と手技は?
指導者は鉄棒の横に立ち、片手で子どもの手首(すっぽ抜け防止)、もう片手で子どもの背中または大腿部を支え、ゆっくりとお辞儀をさせながら頭から落下しないよう回転速度をコントロールします。
Jenher Preschool Favicon

『幼児の運動遊び500選』について

初版発行
2002 年
デジタル版整理・内容監修
仁和幼児園
最終改訂
2026 年 8 月

本書は洪南海氏の長年にわたる幼児体育の指導実務経験に基づく教材です。仁和幼児園が原著の核心を尊重しつつ、現代の保育現場のニーズに合わせてデジタル化・文字校訂・活動解説の補足・安全指引の改訂を行いました。

本書は保育指導での活用および非営利の研究引用として無償提供しています。引用時は『幼児の運動遊び500選』と明記し、本ページのリンクを添えてください。事前の許諾のない商業販売や大量複製は固く禁じます。

幼児の粗大運動・安全管理に関するお願い

活動前に子どもの発達に合わせて難易度を調整し、防滑・十分な空間の確保と大人の見守りのもとで実施してください。持病や発達上の配慮が必要なお子様は、事前に小児科医または小児専門の理学療法士等にご相談ください。