自由な創造性の発揮と安全保育の調和
保育者が多数の幼児と共にダイナミックな動的運動遊びを展開する際、子どもの自由な発想や創造性を存分に伸ばすことと、事故のない安全な保育環境を守ることの双方が不可欠です。 そのためには適切なルールと秩序が必要ですが、それは大人の都合による押し付けであってはなりません。
1. 表面的な要求による「形式の秩序」を求めない
全員を一列に整列させ、保育者の一声で一斉に同じ動作をさせることは、表面的には規律が保たれて美しく見え、指導もしやすいように思えます。
しかし、このような軍隊のような一斉指示のもとでは、子ども一人ひとりの独自の発想、旺盛な好奇心、状況に対する自律的な判断力という「心の大切な芽」が摘み取られてしまいます。 保育者は口先だけで一方的に号令をかける指導者ではなく、子どもたちの中に飛び込み、共に遊びを心から楽しむ共感者でなければなりません。
2. 「できる・できない」だけで子どもの能力を決めつけない
運動指導においては、単純から複雑へ、易しいものから難しいものへと段階的に進めることが一般的です。しかし、難易度の設定や指導順序は決して硬直したレールであってはならず、子どもの心理状態に寄り添った柔軟な思考が求められます。
例えば、鉄棒のぶら下がりや前回りに対し、恐怖心から「できない、やりたくない」と尻込みする子どもがいたとします。その場で無理にやらせようとするのは逆効果です。 まずはすべり台やブランコなど他の楽しい遊びへ誘導し、身体を動かす爽快感と足腰・腕の自信を深めてから再び鉄棒に戻ると、驚くほどスムーズにできるようになります。 単一の種目に固執せず、多面的な遊びの経験を通じて子どもの内なる自己信頼を育む迂回路を用意することが指導の妙味です。
3. 子どもが直感的に実感できる言葉で伝える
活動中、保育者が発する言葉が子どもの心と身体に正しく届いているかを常に意識する必要があります。 特に運動遊びにおける身体の移動感覚やフォームは、大人の抽象的な言葉(例:「もっと真剣に集中して」「しっかり力を入れて」)では子どもに伝わりません。
集中力を促したいときは「先生のおめめを見てごらん、お口をチャックしてみよう」と声かけをするなど、子どもの感覚世界に即した具体的で情景の浮かぶ言葉を使うことで、子どもは自然に行動を調整できるようになります。
4. 子どもの潜在能力を信じ、自らできることを任せる
大人はしばしば「幼い子どもにはまだ無理だ」という固定観念や先入観を持ちがちです。 しかし年長クラス(5〜6歳)になると、走力、ぶら下がり力、遊び続ける持久力において、大人に匹敵するほどの驚くべき能力を発揮します。
大人が過保護に先回りして子どもの活動を制限するのではなく、運動遊びの準備で用具を運ぶ手伝いをさせたり、遊び終わった後の片付けを任せることで、子どもは責任感と自己有用感を育み、心身ともにたくましく自立していきます。
子どもの心に寄り添う指導に関するQ&A
保育現場での声かけや個別援助の工夫について解説します。