最近、日本でも『1億人は必ず「うつ」になる』という本がベストセラーになっている。世界がフラット化した今、仕事のプレッシャーはもちろんのこと、親たちは「将来、世界中の子どもたちと競争しなければならないのに、競争力をつけるために何を学ばせればいいのか」とため息をついている。
しかし、世の中は目まぐるしく変化しており、将来どのような産業が最も安定するかは誰にもわからない。 また、親の段取りが子どもの興味と一致しなければ、たとえ良い仕事に就いたとしても、子どもは幸せになれない。
親は往々にして、自分の過去の経験をもとに未来を思い描き、10年前、20年前の自分の教育や学習経験を今の子供に教え、10年後、20年後の世界に立ち向かうことを期待する。 このような長い時間差は、変化の激しい現代においては、親が頑張れば頑張るほどゴールから遠ざかる状況を生み出す。イギリスの近代史の巨匠、ブースボーンはかつてこう言った。"もし人類が未来について明確なビジョンを持ちたいと望むなら、過去や現在を継続することによってそれを達成することはできないだろう"。
アインシュタインは数十年前、「人類が生き残るためには新しい考え方が必要だ」と私たちに気づかせてくれた。したがって、親が子供と一緒に謙虚に学び方を見直し、生涯にわたって能動的に学ぶ姿勢を身につけることが重要なのである。
10年以上前、双子の娘が生まれたのを機に、友人たちと「原生自然保護協会」を立ち上げた。 台湾で環境保護に取り組む中で、環境を守る最も効果的な方法は、親の子育てのあり方を変えることだと思うようになった。そのため、周囲の人たちから学ぶだけでなく、私自身も子どもたちの成長をよく観察し、考えながら行動してきました。
私は、親は3つの学習分野で子供を助けることができると思う。第一は「生活教育学習」で、価値観や生活態度、健全な人格の育成が含まれる。学習の最も重要で根本的な核心は、実は自分自身の意味を探し、自分の道を見つけ、勇気をもって夢を追い求める過程である。人生教育とは、人と自分、人と他人、人と環境との適切な関係を探求することである。
つ目の領域は、「具体的な能力の育成とキャリアプランニング」である。私たちが大人になった昔は、学習といえば知識を暗記することだったでしょうが、これからの世の中は情報化時代から創造性・統合性・共感性をベースとした「コンセプチュアル・エイジ」へと変化し、もはや知識が圧倒的な力を持つ時代ではありません。そこで親は、アクティブ・ラーニング、自己管理能力、挫折耐性、批判的思考、対人コミュニケーションなどの能力、将来の仕事の選択と準備など、さまざまな方法やツールを通じて、子どもが持ち帰ることのできる能力の蓄積方法を学ぶことに付き合うことができる。
第3の分野は「受験準備」である。学業成績や資格さえも子どもの成長や幸福にとって重要でないことは周知の事実だが、子どもの自信や自尊心は生活環境によって形成され、教師やクラスメートの受け止め方が子どもの自己認識に影響を与えることを現実的に理解することが重要である。社会や環境全体の価値観に抗うことはできない。したがって、子どもたちが受験にどう対処していくかは、無視できない子育てのプロセスでもある。
理想を言えば、この3つの領域が同時にできるようになることが望ましいのだが、多くの子どもにとって、この3つの領域はそれぞれ独立しており、関連性がないように思える。教育は科学であり、その方法や手順を操作し、その結果を検証することができるが、家庭にとっての子育ては芸術である。 なぜなら、子どもは鳥のようなもので、ゆるく抱きすぎると簡単に飛び立ち、きつく抱きすぎると簡単に窒息してしまうからだ。
実生活の場面では、学習プロセスは完全にコントロールできる科学的なプロセスではなく、むしろデザインされた「手放し」の一形態である。言い換えれば、適切な状況や環境をあらかじめ設計・準備し、その中で子どもたちが自由に成長できるように導くことができるのである。
教育とは、「注意を払いながらも、無理強いしない」技術である。
マンダリン・デイリー紙よりリー・ワイマン記者が抜粋